●報告 2020.2.2開催 聞き書き座談会

最終更新: 6月1日


本日聞き書き座談会を開催しました。

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 理事の坪谷は宮城県登米市で在宅医療に従事しています。その訪問診療で関わったある当事者のこれまでの人生のお話を少しずつ聞いていると、カナダから移住してきた・バンクーバーで鮭をとって生活をしていた等、キニナル話題がどんどん出てきました。これはなんだかすごいと思い、改めて時間をとって、そのライフストーリーを杉山と看護師の名嘉原弥生氏とで聞き書きしに伺いました。

 すると、その語り手の人生に触れただけでなく、登米市東和町米川村からカナダに集団移住した出来事の背景には、日露戦争で日本が積極的に海外進出していたことや、昭和大恐慌や東北地方の飢饉が関係していた等、本やインターネットでは簡単に入手できない「歴史の教科書」が目の前に広がっていたではありませんかー。

 一般的に、聞き書きとは、語り手が自らの人生を振り返りながら語ったことを、聞き手が書き、冊子として保存する活動のことを言います。しかし、本日の座談会によって、聞き書きは、単に今までのストーリーを書くという行為だけで終わるのではなく、新たなストーリーをも生むことが分かりましたー。

 残念ながら語り手は昨年お亡くなりになっています。本日は故人のご家族をお招きし、その娘に見守って頂きながら、聞き書きの本をプレゼントした当時のことや、その後の故人やご家族の様子を振り返って頂きました:

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●町内を見渡しても、これまでに自分史を書き残している人はおらず、聞き書き本を見て大変驚いたと同時にすごく嬉しかった

●この聞き書き本にはQRコードがあって、それを読み取ると当時の故人の生の声を聞くことができて、あとからあとから聞き書き本が欲しいという家族のリクエストが絶えなかった(注:リクエストにお応えして改良・増刷しました)

●聞き書きに限らず、人生会議にまつわる会話を故人と交わすことができていた

●自宅で介護することは、仕事を辞めるなどしなくてはいけなくて苦労もあったけど、訪問診療・訪問看護・ケアマネージャー支援・訪問入浴などのサービスがあったので、安心して家族と共に乗り越えることができた

●自宅で亡くなる等、故人が望んだであろうことは全てやったような気がする

●人それぞれあるだろうけれど、在宅医療を経験した者として、在宅医療の素晴らしさや安心を伝えたい

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 以上のメッセージを、ユーモアを交えたり、涙を浮かべながら、しかし力強く語って頂きました。

 故人と同郷で、かつ訪問看護していた田中悦子氏(やまと在宅診療所登米所属)は、看取った後も同じ故郷に住む者としてご家族とお付き合いしていきたいと述べました。

 会場の参加者も今回のお話を自らの体験に重ねて、笑い・悲しみ・共感などの感情を交わすことができました。それが余韻として残り、座談会が終わった後も皆その場をなかなか立ち去ることができない様子でした。

 今回のみんらぼ「聞き書き座談会」は、

 ◆人生の先輩から後輩への生死に関する授業であり、

 ◆地域の忘れられてはならない歴史のアーカイブであり、

 ◆聞き書き、人生会議、在宅医療、自宅で最期を迎えることの学びの場であり、

 ◆ご遺族のスピリチュアルなケアであり、

 ◆当事者同士の感情交流の場であり、

 ◆ケアする側と受ける側の交流の場であり、

 ◆経験者から将来経験するであろう者への経験の受け継ぎの場であった

など多面的な要素を持ちました。

 みんらぼは今後もこのような活動を通じて、地域で安心して暮らすために医療や介護はどうあるべきかを話し合う場を作っていきます。


日時:2020年2月2日 (日) 11-12時 場所:ケアセンター南昌5階 世代間交流センター 参加者数:24名ゲスト:故人のご家族お二人、田中悦子氏 司会:坪谷透 アシスタント:杉山賢明

撮影:綿引奈苗

後援:紫波郡医師会

協力:ケアセンター南昌の皆様


文責:ごろう